(CNN)海洋は驚くべき速さで温暖化しており、広範囲にわたる影響をもたらしているが、世界はまだそれに対する備えができていない。 100人以上の国際的な科学者が携わった報告書によって、そうした実態が明らかになった。 9月30日に発表された第10回コペルニクス海洋状況報告(Copernicus Ocean State Report)は、衛星、ブイ、センサーから得られた40年以上にわたるデータに基づき、世界の海洋の現状を捉え、海洋が直面している深刻な変化について「これまでで最も厳しい警告」を発している。 「海洋は我々の目の前で変貌を遂げている。 温暖化、海面上昇、生態系の劣化は、重大かつ長期的な変化を示す相互に関連した兆候となる」。 報告書を作成した非営利研究機関メルカトル・オーシャン・インターナショナルのピエール・バウレル事務局長はそう述べている。 報告書で指摘された長期的な変化に加え、怪物級のエルニーニョ現象がさらなる圧力をかけている。 太平洋の赤道付近で海水温が平年より高くなるこの気候パターンは今後、観測史上最も激しいものになる見込みだ。 報告書によると、世界の海洋は人類が化石燃料を燃焼させることで発生する余剰熱の約90%を吸収している。 現在海洋の温暖化は「憂慮すべき速度」で進んでいる。 昨年、世界の海洋は23ゼタジュール相当の熱を吸収し、9年連続で新記録を更新したと報告書は記す。 これは広島型原爆12発が1年間、毎秒爆発するエネルギーに等しく、昨年全世界が消費したエネルギーのざっと40倍に相当するという。 この熱は広範囲に影響を及ぼす。 具体的には海洋熱波を引き起こし、より強力かつ破壊的な暴風雨をもたらす。 海洋生物にも被害を与え、海面上昇を加速させる。 海面上昇は氷の融解と、温暖化した海水の体積増加の両方によって起こる。 世界の平均海面水位は1999年以降、年間約3.8ミリメートル、合計で102ミリメートル近く上昇した。 2012年以降、上昇率は加速しており、沿岸地域に住む数億人の生活を脅かしている。 また、海洋は1985年以降、炭素汚染物質の吸収量が増加したことにより、酸性度が約17%上昇した。 海洋酸性化は、カキやロブスター、サンゴなどの海洋生物が殻や骨格を形成・維持するのを困難にするなど、水中生態系に深刻な被害を与える。 地球温暖化に伴う変化によって、特に大きな影響を受けている地域が存在する。 報告書の著者であり、メルカトル・オーシャン・インターナショナルの上級顧問を務めるカリーナ・フォンシュックマン氏は、欧州の海が「非常に大きな圧力」にさらされていると述べた。 報告書によると、24年には地中海と黒海で記録的な海洋熱波が発生。 一部には高温が30日以上続き、海水温が平均を4.6度以上上回る海域もあった。 海洋の異常気象は人々に大きな影響を与える。 報告書は24年の暴風雨に言及。 この暴風雨はスペイン沿岸の一部に高さ7.9メートルの波をもたらし、1人の死者、広範囲にわたる停電、インフラへの被害を引き起こした。 海洋環境の最も大きな変化の一つは、急速に温暖化が進む北極圏で起きている。 過去40年間で、北極圏の海面水温は約4.2度上昇した。 1979年から2025年にかけて、月平均の海氷面積は10年ごとに約49万平方キロメートル減少した。 10年ごとにスペインの国土面積に匹敵する面積が失われている計算だ。 地球の反対側の南極では、22年に南極海の海氷面積が記録的な低水準を記録したのと同時に、コウテイペンギンの大規模な繁殖失敗が初めて記録された。 報告書は「これは気候変動がすでに、氷に依存する種の生息地を変容させている兆候だ」と指摘している。 報告書は、海洋の継続的なモニタリングを求めている。 それによって政府や地域社会は、将来への備えに必要な情報を確実に入手しなくてはならないという。