1969年7月20日、アポロ11号が月に着陸してから57年。 人類史上最大級ともいえるこの探査で、私たちは月を理解したと思いがちです。 でも、この探査で実際にわかったのは、私たちは月のことを全く知らない、という事実でした。 なんででしょう? あの日、宇宙飛行士は382キログラムの月の石を持ち帰りました。 そして、その石を調べれば調べるほど、わからないことが出てきたのです。 ScienceAlertが伝えています。 アポロ11号が飛ぶ前、科学者たちは月の起源や地質活動について、いろんな説を戦わせるだけで、何一つ確信が持てずにいました。 そう語るのは、月惑星研究所の地質学者デイビッド・クリング氏です。 月は太陽系初期からほぼ姿を変えていない天体なのか。 クレーターは火山でできたのか、衝突でできたのか。 そんな基本的な疑問にすら、誰も答えを持っていませんでした。 それを解決したのが、あの石ころたちです。 月の内部にはかつて“マグマオーシャン”が広がっていたこと、クレーターの正体はほぼすべて天体衝突であること、月の年齢がおよそ45億年であることーー。 石を調べたことで、こういった事実が判明しました。 月の起源として今も最有力とされる「ジャイアント・インパクト説(巨大衝突説)」も、アポロのサンプルから生まれた説です。 でもこの説自体、いまだに「証拠が足りないのでは」という指摘が出てきました。 「約40億年前に、月にも地球にも小惑星が集中的に降り注いだ」という仮説も同じです。 クリング氏はアポロのサンプル分析からこの説を思いついたそうですが、発表から25年以上経った今も、研究者の解釈は更新され続けています。 なかなか結論が出ないのは、分析技術が進化するにつれて、アポロのサンプルから新しい情報を引き出せてしまうから。 その結果をもとに、研究者の考え方も更新され続けている、というわけ。 つまりアポロは、月を「理解した」探査というより、「知らないことがどれだけあるか」を私たちに突きつけた探査だった、ということなんだと思います。