中国のAIモデル「Kimi K3」のセンセーショナルなデビューが、シリコンバレーの注目をさらっている。 AI開発レースを勝ち抜く最善策をめぐり、アメリカのAI業界リーダーの間で意見の対立が深まっている。 中国がオープンウェイトのAIモデルを積極的に採用していることに、触発される者もいる。 中国企業が新しいAIモデルを発表するたびに、アメリカはパニックになる。 7月16日(日本時間17日)、中国のムーンショットAI(Moonshot AI)が発表した「Kimi K3」でも、まさに同じことが起きた。 同モデルは主要なベンチマークで圧倒的な成績を収めており、大方の見方では、アメリカの主要な最先端モデルに匹敵する性能を、ごくわずかなコストで実現しているという。 この新モデルの登場は、「AI市場の覇権争いにおいて、中国がアメリカに匹敵しつつある」という新たなパニックを呼び起こした。 と同時に、「中国がアンソロピック(Anthropic)やオープンAI(OpenAI)、グーグル(Google)がすでに積み重ねてきた成果にただ乗りしてモデルを訓練している」という批判も噴出した(Business Insiderは7月初め、この批判に潜む皮肉を指摘している)。 こうした緊張を突き詰めれば、米中両国の明確な戦略の違いに行き着く。 中国は、学習データや手法まで公開する「オープンソース」や、学習済みの成果だけを公開する「オープンウェイト」のモデルを積極的に採用している一方、アメリカは大半がどちらも公開しないクローズドな体制を維持している。 オープンウェイトであれば、開発者はモデルの中身を検証したり、独自にカスタマイズしたり、展開したりすることができる。 Kimi K3パニックが巻き起こっていた先週末、オープンAIの幹部がKimi K3に対する長文の見解をXに投稿したことをきっかけに、激しい論争が起きた。 「潜在的なリスクを踏まえれば、中国政府がこれほど高性能なモデルのオープンソース化を容認し続けていることに、個人的には驚いている」 OpenAIの戦略責任者ディーン・ボール(Dean Ball)氏は、Xにそう投稿した。 彼はかつて、トランプ(Donald Trump)大統領のAI担当上級顧問を務めていた人物だ。 ボール氏は、オープンウェイト戦略が行き着く先は完全な「AI共産主義」だと指摘。 オープンモデルは「AIへの設備投資を阻害する」ため、AIの進化を遅らせる「減速主義的」になり得ると主張した。 しかし、本当に議論に火をつけたのは次の発言だった。 「トランプ政権はいずれ、中国のオープンウェイト型AIモデルの利用に対し、大規模な規制リスクを作り出すことこそが最善の戦略だと気づくのではないかと私は予想している」 ボール氏は、規制プロセスにおいて意図的に恐怖や不確実性、疑念ーー業界で言うところの「FUD(Fear,Uncertainty,and Doubt)」ーーを煽ることで、アメリカ企業の大半にオープンモデルの使用を敬遠させることができるはずだと示唆したのだ。 彼はその後、これはあくまで自身の予測であって推奨ではないと釈明。 AIが「危険すぎる」段階に達するまではオープンソースを支持すると述べたうえで、その段階に至ることは「悲しい日」になるだろうと付け加えた。