外来では、「大腸がんにならない方法はありますか?」と聞かれることがあります。 残念ながら、「これをすれば絶対に防げる」という方法はありません。 大腸がんは、食事だけでなく、さまざまな要因が関わる病気です。 年齢や家族歴など、自分では変えられない要素もありますが、生活習慣を見直すことは、大腸がんになりにくくするための現実的な一歩になります。 これまで、第1回では、大腸がんは高齢の方だけの病気ではないことを、第2回では便潜血検査が命を守る入り口になることを、第3回では大腸カメラへの不安を減らすための情報をお伝えしました。 今回は、大腸がんになりにくくするために、日々の生活で意識したいことをご紹介します。 大腸がん予防で、科学的根拠が明らかな生活習慣の一つが身体活動です。 国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがん予防法」によれば、活発な身体活動によって大腸がんのリスクは「ほぼ確実に減少」するとされています(*1)。 ただし、激しい運動を急に始める必要はありません。 エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩く、座りっぱなしの時間を減らすー。 そうした毎日の積み重ねにも意味があります。 運動は体重管理にもつながり、結果として大腸がんのリスク低下に役立ちます。 国際的な報告では、食物繊維を多く含む食品や、全粒穀物(玄米やオートミール、全粒粉パンなど)は、大腸がんのリスクを下げる可能性が高いとされています(*2)。 乳製品やカルシウムサプリメントも、リスクを下げる可能性があります(*2)。 一方で、日本の研究では、野菜の摂取そのものが大腸がんリスクを下げるという明確な根拠は十分ではありません。 ただ、野菜や果物は、食道がんを「ほぼ確実に減少」させ、胃がんや肺がん(果物のみ)についても「減少する可能性あり」とされています(*1)。 そこで、野菜や果物、豆、きのこ、海藻など、食物繊維を含む食品を意識して取ることが勧められます。 また、毎日の食事を考える目安として、厚生労働省が推進する国民の健康づくりのための取り組み「健康日本21」では、1日に野菜350g以上、果物200g程度を目標としています(*3)。 これは大腸がん予防だけを目的とした数字ではありませんが、健康的な食生活を考える上で参考になる目安です。