おむすびころりん。 昔、あるところにおじいさんとおばあさんがありました。 ある日、おじいさんが「おばあさんや、今日は山へ薪拾いに行くから、お弁当を作っておくれ」と言うと、おばあさんは「それなら、黒豆と白豆とおむすびも入れてあげましょう」と言い、お弁当をこしらえてくれました。 おじいさんはそれを持って山へ出かけていきました。 そうしてお昼になったので、お弁当を開けると、黒豆がころころ転がり、穴の中に落ちてしまいました。 「おや、おばあさんが煮てくれた黒豆を穴に落としてしまった。 これはもったいない」とおじいさんががっかりしていると、穴の中から「黒豆つんばい、ちゃかつんばい、ぽつぽつ」と声が聞こえてきました。 おや、おじいさんが不思議に思っていると、今度は白豆が穴の中に落ちてしまいました。 するとまた「白豆つんばい、ちゃかつんばい、ぽつぽつ」という声が聞こえます。 「ややこれは驚いた。 が、気のせいかもしれない。 そうだ」おじいさんは試しにわざと穴に豆を入れてみました。 すると。 「黒豆つんばい、ちゃかつんばい、ぽつぽつ」と、また面白い声が聞こえてくるので、おじいさんはとうとう豆を全部穴へ入れてしまいました。 「黒豆つんばい、白豆つんばい、黒豆つんばい、ちゃかつんばい」「ほれ」と、ついにおむすびも穴に入れました。 すると今度は「おむすびころころ、すてんしゃん、ぽつぽつ」と聞こえてくるので、これは愉快じゃと喜んでいると、なんとおじいさんはその穴に吸い込まれてしまいました。 穴の中には広いお座敷がありました。 そこにはたくさんのネズミがいて、「おじいさん、ようこそいらっしゃいました。 ただいまはおいしいお弁当をありがとうございました。 お礼にご馳走したいのですが、ここでは決してニャーと言わないでください」。 「なに、ニャー。 よしよしわかった。 決して言うまい」と約束すると、ネズミたちはおじいさんを酒や肴でもてなしてくれました。 そして、帰りは珍しい宝物をたくさんくれました。 そのことを知ったよくふかじいさんとよくふかばあさんは、「隣のうちでは豆を穴に転がしてネズミの宝をもらったそうだ。 それならうちでも豆を煮たり、おむすびを作ろう」とお弁当をこしらえ、山へ持っていきました。 そして穴を見つけると、早速その中へ豆を入れてみました。 けれども、何にも音は聞こえません。 今度はおむすびを無理やり穴へ押し込みました。 それでも何にも聞こえません。 そこでよくふかじいさんは自分から穴の中へ入っていきました。 穴の中には聞いていた通り宝物がたくさんありますが、「おいネズミ、出てこいやい」と呼んでも一匹のネズミも出てきません。 「それならこうじゃ。 ニャー」と言うと、辺りは真っ暗になり、ヒューと声がしたかと思うと、「うわぁ、やめてくれ、やめてくれ」と散々な目に遭い、よくふかじいさんはやっとのことで穴から這い出して、命からがら逃げてきましたとさ。