糖尿病は、インスリンの作用不足によって慢性的に血糖値が高くなる代謝疾患の総称です。 高血糖が続くと、全身の血管に負担がかかり、網膜症や腎症などの細小血管合併症、心筋梗塞や脳梗塞などの大血管症につながることがあります。 かつて糖尿病は寿命に関わる病気と考えられてきましたが、治療薬や検査、療養支援の進歩により、状況は変わってきています。 この記事では、糖尿病患者さんの平均死亡時年齢や寿命に影響する原因、健やかな毎日を長く維持するために日常生活で取り入れたい習慣を解説します。 糖尿病と寿命の関係 Q糖尿病は寿命に影響する病気ですか? A:糖尿病は、適切に管理されない場合、寿命に影響する可能性がある病気です。 慢性的な高血糖は全身の血管に負担をかけ、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気のリスクを高めます。 また、がんや感染症との関連もあり、血糖値だけでなく、全身の健康状態を継続してみていく必要があります。 過去の統計では、糖尿病患者さんは一般の方と比べて死亡時年齢が低い傾向が示されてきました。 ただし、長期的にみると、糖尿病患者さんの平均死亡時年齢は延びており、日本人全体との差も以前より縮まってきています。 Q糖尿病と診断された人の平均寿命を教えてください A:日本人の糖尿病患者さんを対象とした20112020年の調査では、平均死亡時年齢は男性で74.4歳、女性で77.3歳でした。 この時期の日本人全体の平均寿命と比べると、男性で7.2歳、女性で10.4歳短い結果でした。 一方、19711980年の調査では、糖尿病患者さんの平均死亡時年齢は男性で63.1歳、女性で64.9歳でした。 この時期の日本人全体の平均寿命と比べると、男性で10.3歳、女性で13.9歳短い結果でした。 約40年前と比べると、糖尿病患者さんの平均死亡時年齢は延びており、日本人全体との差も男性で10.3年から7.2年、女性で13.9年から10.4年へと縮まっています。 Q適切に治療をすれば糖尿病ではない人と寿命は変わらないのですか? A:糖尿病治療の目標は、糖尿病のない方と変わらない寿命と日常生活の質を目指すことです。 発症早期から血糖、血圧、脂質代謝を管理し、禁煙などの健康的な生活習慣を続けることで、合併症の発症や進行を抑えられる可能性があります。 早い時期から良好な血糖コントロールを続けると、10年、20年後の血管合併症を抑える効果が残ることがあり、これは遺産効果またはレガシーエフェクトと呼ばれます。 糖尿病があっても、治療を中断せず、血糖だけでなく血圧や脂質、体重、喫煙などを含めて管理すれば、寿命への影響を小さくできる可能性があります。 Q1型糖尿病と2型糖尿病で寿命は異なりますか? A:1型糖尿病と2型糖尿病で発症の仕組みや合併症の背景が異なるため、寿命に影響する要因も一部異なります。 1型糖尿病はインスリンがほとんど分泌されなくなる病気で、以前は急性合併症などにより予後が厳しい時代もありました。 しかし、現在はインスリン療法の進歩により、良好な管理を続けることで長期の生存と合併症予防が期待できます。 一方、2型糖尿病は肥満や高血圧、脂質異常症などを伴うことが少なくありません。 そのため、心血管疾患やがんが予後に関わる要因になりやすいと考えられています。 どちらの型でも、病態に合った治療と自己管理の継続が寿命に関わります。 特に1型糖尿病は若い時期に発症することがあり、長期的な視点で合併症を防ぐ管理が必要です。