2011年に運用を終えたNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「スピリット(Spirit)」。 そのデータが、いまなお現役の研究材料であり続けていることを示す成果が発表されました。 エディス・コーワン大学(ECU)の研究担当副学長を務めるPaulo de Souza教授は、スピリットの観測データを再解析した結果、かつての火星に水が存在することを示す鉱物が新たに検出されたとする研究成果を発表しました。 de Souza氏の成果をまとめた論文はSpringer Nature発行の学術誌「Interactions」に掲載されています。 2003年6月に打ち上げられたスピリットは、2004年1月に火星のグセフ・クレーター(Gusev Crater)へ着陸。 三週間後には双子の探査車「オポチュニティ(Opportunity)」が火星の反対側にあたるメリディアニ平原に着陸し、火星にかつて存在したとされる水の証拠を探る「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(MER)」ミッションの下で探査活動を行いました。 当初想定されていたミッション期間はわずか90日間でしたが、スピリットは約6年、オポチュニティは実に15年近くにわたって稼働し続けました。 スピリットとオポチュニティには、鉄を含む鉱物の種類や状態を調べる小型メスバウアー分光計「MIMOS II」が搭載されていました。 メスバウアー分光計は、試料に照射したガンマ線の吸収度合いから読み取ることで、試料に含まれる物質を調べることができる装置です。 鉄を含む鉱物の中には、ヘマタイト(赤鉄鉱)のように水と長期間触れ合うことで初めて生成されるものがあります。 試料の中にどの鉄鉱物がどれだけ存在するかを突き止めることは、かつて水が存在したかどうかを判断する手がかりになるのです。 しかし、探査車が使用できる時間、電力、メモリーが限られていたことから、MIMOS IIによる1回あたりの観測時間は短く、統計的な精度(データのばらつきの少なさ)が不足しがちでした。 そのため、土壌全体の5%に満たないような微量な鉄鉱物相を検出するのは困難だったといいます。