エアコンの調子が悪いと感じても、買い替えを先延ばしにしている人は少なくないだろう。 一方で、長年使用したエアコンは省エネ性能の差や経年劣化によって最新機種に比べて消費電力が多いだけではなく、故障したときに修理すらできない事態に直面することもある。 では、エアコンは何年を目安に買い替えるべきなのだろうか。 ●なぜ「壊れるまで使う」が当たり前になるのか 内閣府が2025年12月に実施した消費動向調査によると、ルームエアコンの平均使用年数は14.2年だった。 買い替えの理由として最も多いのは「故障」で、全体の約7割を占める。 ここから、多くの家庭は、不調を感じながらも壊れるまで使い続けている実態がうかがえる。 メーカーが定める「標準使用期間」はおおむね10年。 これは安全上支障なく使用できる目安の期間であり、超えると部品の劣化が進みやすくなる。 にもかかわらず平均使用年数が14年を超えているのは、エアコンが「壊れるまで気づきにくい」家電であるためだろう。 そのため、冷暖房の効きが少しずつ悪くなっても季節の変化と区別がつきにくく、気づかないうちに効率が低下し、消費電力が増えている可能性もある。 すると、電気代という形でじわじわと家計に負担がのしかかってしまうのだ。 ●まずは設置年と使用状況を確認しよう 買い替えを検討する際、まずはエアコン本体のシールで「製造年」と「標準使用期間」を確認しよう。 あわせて確認したいのが、メーカーの「補修用性能部品の最低保有期間」だ。 多くのメーカーは機種の製造終了から10年間、修理用部品を保有しているが、この期間を過ぎると故障しても修理できないケースが増えるので、機種の製造終了から10年以上経過しているようなら買い替えを検討するとよい。 なお、製造終了からの年数は、メーカーの問い合わせ窓口や型番検索で確認できることが多い。 そして、電気代の面でも、古いエアコンと最新機種の差は意外と大きい。 資源エネルギー庁の「省エネ型製品情報サイト」のデータをもとにした試算によると、10年前の機種と最新の省エネエアコンを比較した場合、69畳向けで年間20003000円、1726畳向けでは年間1万2000円ほどの差が生じる(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価、1kWhあたり31円で算出)。 10年の累積で考えると、広い部屋向けでは10万円を超える差になる計算だ。 汚れによる効率低下も加味すると、実際の差はさらに開く可能性がある。 ●修理か買い替えか、判断基準を整理する 購入から10年未満の新しいエアコンならば、修理を選ぶほうが費用を抑えられる場合もある。 しかし、フィルターや制御基板の修理であれば数万円程度に収まることが多いが、エアコンの心臓部であるコンプレッサー(圧縮機)の交換は、修理費用が新品購入に近い出費になることもあるだろう。 そこで、下記の3つの視点を判断の軸として、修理か買い替えかを見極めてほしい。 1. 経過年数 標準使用期間の10年を超えているかどうか。 2. 修理部品の入手可否 製造終了から10年が経過していると修理自体ができない場合がある。 3. 費用対効果 修理費用と新品購入費用を比較して、どちらが家計の負担が軽いか。 一般的なメーカー保証は本体が1年、冷媒回路が5年とされている。 そのため、平均使用年数の14年を前提にすると、買い替えを検討する頃には保証期間は終了している可能性が高い。 そのため、保証切れ後の故障に備え、10年を一つの節目として早めに状態を点検しておこう。 ●自治体の補助金制度を使えば買い替え費用を抑えられる 「買い替えたいが、初期費用がネック」という人は、自治体の補助金制度も選択肢に入れたい。 たとえば、東京都の「東京ゼロエミポイント」は、都内在住者が省エネ性能の高いエアコンに買い替える際に値引きを受けられる制度だ。 製造から15年以上経過した製品からの買い替えはポイントが上乗せされ、65歳以上の高齢者などは一律8万円分の割引が適用される。 なお、こうした自治体独自の補助金は予算上限に達し次第終了するため、購入前に公式サイトで最新の申請状況を確認したい。 なお、経済産業省による省エネ基準の引き上げにより、エアコンメーカー各社は高効率化への対応を進めるため、2027年4月以降は、基準を満たさない安価なエアコンのラインアップの縮小や価格上昇の可能性が指摘されている。 原材料費や物流費の上昇などの外部要因もあり、さらなる価格上昇も予想されるため、買い替えを検討している場合は早めの情報収集が家計に有利に働く可能性がある。 ●「壊れてから」では遅い場合もある 買い替えをためらう理由の多くは購入費用だと想定されるが、「壊れてから動く」こと自体にもリスクがある。 特に真夏の繁忙期は設置工事の予約が取りにくく、依頼から取り付けまで数週間かかることも珍しくない。 エアコンなしで過ごす期間は、高齢者や乳幼児のいる家庭では健康面のリスクにもつながるだろう。 電気代の節約だけが買い替えの判断軸ではない。 製造年と標準使用期間を確かめ、修理部品の入手可否や費用対効果を見極め、補助金制度も活用しながら計画的に備える。 その備えこそが、家計と暮らしの安心を守る最善策といえるだろう。 (蔵永ゆうこ)