明るい声を世の中に。 中村ラジオへようこそ。 中村先生のおいしい記憶、餃子。 年越しが二ヶ月間にわたると書くと、きっと驚かれるだろう。 でも中国で暮らせばそれが本当のことだとわかる。 十二月中旬の忘年会に始まり、クリスマスパーティーで盛り上がって、紅白歌合戦で一年を締めくくる日本バージョンが終わると、中国バージョンのスタート。 年祝で年末ボーナスに喜び、小年で気分が高まり、春節の民族大移動へと続く。 春節のトリを飾る元宵節まで、お祝いメッセージや本包がネット上を飛び交い、乾杯と干杯が繰り返され、カロリー度外視のごちそうがテーブルに並ぶ。 この日中年越し作業も今回で二十一回目となった。 日本の年越しの必需品が年越しそばなら、中国の除夜は餃子を揚げる人が多いだろう。 私の好きな食べ物ランキングの常連で、包む食文化の傑作、餃子。 日本の餃子は焼き餃子。 実家ではスーパーで餃子の皮を買ってきて、自分たちで包む。 手先が不器用な私はひだがうまく作れなくて、焼いている時によく爆発したものだ。 まあ、形はどうあれ、うまいものはうまい。 高校生の頃は一人で三十個ぐらい食べていたな。 大学時代に留学生として北京にやってきた時、初めて水餃子を食べた。 おかず感の強い日本の焼き餃子と違って、もちもちの皮がツルッと口に滑り込む。 中国の水餃子はすいとんの親戚みたいで全くの別世界。 注文はいつも半斤で、日本の女の子も結構食べると驚かれたっけ。 二〇〇三年にもう一度中国にやってきてから、一体どれぐらい餃子を食べてきたのだろう。 仕事が夜遅く終わる私にとって、真夜中まで開いている餃子屋は強い味方だ。 出張や旅の途中で出会う餃子も忘れがたい。 湖が多い湖北省武漢では名産のレンコンを使った餃子が美味しかったし、遼寧省大連の空港で食べたパイーの餃子は絶品だった。 新疆レストランで食べた羊肉の餃子はエキゾチックな顔をしていたし、杭州に行けば海老餃子が私を待っている。 ああ、いつかは東北地方で本場の酸菜餃子を食べてみたいものだ。 好きな中華料理が餃子だと答えると、決まって日本の焼き餃子と中国の水餃子はどちらがおいしいか? とよく聞かれる。 正直甲乙つけがたいのだけど、具はやっぱりニラがいい。 色が濃く香りが高いニラが最高だ。 これは子供の頃から変わらない。 なんだかお腹が空いてきたぞ。 これを書き終えたら、近くの餃子屋に行ってこよう。 注文はもちろん、二両肉菜で。 来た、来た。 えっと、こっちがくんくんの青菜ね。 タレはどうする? 醤油とラー油で先生は? 私はいつものお酢と豆辣油。 日本の人にとって餃子といえば焼き餃子ですけど、タレはどうしてるんですか? オーソドックスなのはお酢と醤油にラー油を垂らしたものだね。 最近はグルメ番組の影響でお酢に胡椒をたっぷり入れたものも人気があるみたいだけど。 そうだ、思い出しました。 二〇一四年にはじめて日本に行った時、大阪で餃子の王将に入りましたよね。 その時、先生が一人でラーメンとチャーハンと焼き餃子を注文したから驚いたんですよ。 驚かないでよ。 半チャーハン麺に餃子は日本の町中華の基本中の基本だよ。 そんな炭水化物かける三みたいな注文、中国ではなかなかないですよ。 中国は麺もチャーハンも餃子も単品でお腹いっぱいになる量だからね。 日本の焼き餃子は主食じゃなくておかずだから、実家で食べる時もご飯が出てくるよ。 中村家特製のニンニクを効かせたニラ餃子は白いご飯にぴったりなのよ。 餃子とご飯を一緒に食べるだなんて。 所変われば品変わるってよく言いますけど、まさにそうですね。 私も中国に来て、餃子屋の壁に貼ってあるメニューを見て驚いたよ。 ニラにセロリにシイタケ、長ネギにパクチー。 いろんな具があるんだもん。 日本はだいたい一種類だからね。 中国国内も南や北で具や形が違いますね。 そうそう。 二〇〇三年に武漢にやってきて、餃子を見た時、第一印象は小さいだったよ。 記憶の中にある北京の餃子は一両四個だったけど、こちらでは六個だもんね。 日本の餃子は全国的に同じなんですか? 福岡の博多一口餃子のように小ぶりなタイプやジャンボ餃子を売りにしている店もあるけど、だいたい同じ大きさで一人前五、六個だよね。 具は白菜やキャベツ、ニラのブレンドが多いかな。 最近は日本の中華もガチ化が進んで、水餃子を出す店も増えたみたいだよ。 きっと水餃子ファンが急増しますよ。 日本で暮らす中国人にとっても懐かしいお国の味ですね。 そうだね。 ねぇ、くんくん。 私今日は二両じゃ物足りない。 先生、もうすぐ爆食の春節がやってきますから、今は我慢ですよ。 そうそう、我慢、我慢。 今年はどんな年越し料理かな? 皆さん、ぜひもうメンツに幸せな美食写真をアップしてくださいね。 楽しみにしています。