明るい声を世の中に中村ラジオへようこそ。 軽くなる生き方。 松浦弥太郎。 選ばれる人になる三粒のサプリ。 僕たちは無数の選択をして生きている。 右に行こうか、左に行こうかを選び、地下鉄にしようか、バスにしようかを選び、サンドイッチにしようか、オムライスにしようかを選び、この人と手を携えて生きるか、あの人に引っ張られて生きるかを選ぶ。 ここで忘れがちなのが、いつも自分が選ぶ側ではないという点だ。 世界は自分を中心に成り立っているわけではないから、受け身になり、選ばれる側に回ることも現実にはしょっちゅう起こる。 選ばれるとは、相手があなたに愛情を持ち、あなたの価値を認め、あなたを生かそうとしているということ。 だったら、選ばれないよりも選ばれる人生の方がずっといい。 君でなければダメなんだと誰かから必要とされたい。 選ばれるケースといえば、愛情関係やゲストの類もそうだが、一番わかりやすい例は仕事かもしれない。 例えば、何人もいる同僚の中から選ばれ、この仕事は君に任せようと言われたら、誰だって悪い気はしない。 それがずっとやりたかった仕事であればなおさらだ。 難しいかもしれないけれど、チャレンジしてごらんという言葉は、懸命に働いている人の気持ちをポンと元気づけてくれる。 一方、いつも選ばれない側だったらかなりつらい。 大抵の仕事にはチャレンジとキープの種類があると思っている。 選ばれない人は後者を任されることが多い。 プロジェクト A にも選ばれず、プラン B にも選ばれず、誰がやっても同じようなキープの仕事ばかり任され続けていたら、だんだん気持ちは萎えていく。 まるで毎日毎日同じ時間に草に水をやるような仕事。 もちろん、世の中にはキープの仕事も必要だ。 キープの中でもチャレンジすることはできる。 ただ、ここで言いたいのは、チャレンジの気持ちを失って、何も期待されない仕事ばかりを繰り返せば、草よりも先にしおれてしまうのは人の方かもしれないということなのだ。 選ばれたい、生かされたい。 あなたが僕と同じようにそう願うのなら、よく聞く三粒のサプリメントがある。 一粒目は観察すること。 周りの人がどんな人であるのか関心を持つ。 身近で起きていることに新鮮な好奇心を持つ。 この人は何に興味があるのだろう、あるいはいつもと雰囲気が違うななどとすべてをじっくり観察するのだ。 すると、ありふれた職場の光景でも、毎日新たな発見があるだろう。 仕事にも人間関係にも役立つ情報収集ができるので、選ばれる確率は高くなる。 二粒目は察する力を持つこと。 凸凹だらけの道をサイズが合わない靴で歩いている子供がいたら、それを観察しているだけでは意味がない。 あ、このまま止めずに歩かせたら転んでしまうと想像できるかできないかで事態は大きく変わってくる。 つまり、観察して集めた情報をもとに状況を見ながらシミュレーションできる人が選ばれるということだ。 察する力、想像力というのは、すべての仕事に欠かせないと僕は思う。 話し方をこうしたら、この人は伸びるし、次の企画もうまくいくな。 今の条件でこの方法を押し通すと、この段階で無理が出るかもしれない。 こういった思考ができないままでいると、いずれどこかでつまずくだろう。 三粒目はコミュニケーションする力を持つこと。 情報を集め、察することができたら、実際に相手と関わり合おう。 子供が転びそうなら手を差し伸べる。 挨拶ももちろんだが、時には感情をむき出しにして正直に反応する。 これを続けていけば、お互いに踏み込んだ相談もでき、あらゆる人に選ばれるようになるだろう。 ところで、僕がつの条件をサプリメントと書いたのには理由がある。 選ばれる人になるかどうかは、生まれつきの能力や特殊な才能で決まるわけではないとわかってほしいからだ。 毎日欠かさずこの三粒を飲み込み、マスターする努力を続ければ、誰だって選ばれる人になれる。 かつて僕の出会った仕事仲間に察する力が皆無だった人がいた。 皆無だったと書いたのは、もうそうではないからだが、正直なところ、最初はよくこんなぼーっとした人がいるなぁと驚いたくらいだ。 しかし、彼にはいいところがたくさんあり、一緒にずっと働いていきたいと僕は思った。 彼を選び、生かそうと決めたのだ。 そこで僕は想像してごらん、どうなるか考えてみてと五年間言い続けた。 彼が必要だったからだ。 まるで我慢比べで、僕にとってもなかなか苦痛だったが、彼にとってもうんざりする小言だったに違いない。 ムッとして辞めてしまう可能性もあったが、僕は諦めなかったし、彼も働き続けた。 すると彼は少しずつ変わっていった。 そして今や想像力を駆使し、察する力を持って、実務も接客も見事にこなしている。 毎日続けることで人は変わる。 しかし、これが難しい。 三粒のサプリメントはシンプルだがディープ飲み続けるのは簡単ではないだろう。 それでも選ばれる人になりたいのなら、あなたにもぜひ続けてほしい。 効果のほどは僕と彼が保証する。