KDDIが提供するオンライン専用ブランド「povo」の公式Xアカウントが6月13日に意味深投稿をした。 ポストでは特定の通信キャリア名を明記していないが、投稿がターゲットとしているのは、通信不良に悩む楽天モバイルユーザーである可能性が極めて高い。 SNS上では、ショッピングモールの奥に入ると圏外になるなど、楽天モバイルの屋内通信環境に対する不満の声が多数報告されている。 povoの公式Xアカウントは以下のような内容の広告を投稿した。 「povoはau回線で快適につながります。 最近、急に商業施設でスマホが繋がらなくなった? そんな方におススメです! 今の契約はそのままで、『つながらない』に備えよう!」 このプロモーションは、まさに現在の楽天モバイルユーザーが直面している課題を的確に突いた内容といえる。 なぜ、ここに来て急に商業施設などの屋内で通信状況が悪化する事象が多発しているのか。 直接的な要因は、KDDIが楽天モバイルに対して提供しているau回線のローミングサービスのエリア縮小にある。 KDDIが公開しているマップを比較すると、2026年5月末時点から6月以降にかけて、東京都心部や川崎市、横浜市などの都市部を中心として、ローミング提供を示すエリアが明らかに減少している。 KDDIがローミングとして提供しているのは、屋内や地下にも電波が届きやすい強力な性質を持つ、いわゆる「プラチナバンド」である。 楽天モバイルは自社のネットワーク網の構築を急ピッチで進めている。 しかし、これまで屋内施設で快適に通信できていたのは、このKDDIのプラチナバンドによるローミングに支えられていた側面が大きい。 ローミングエリアが順次終了していく過渡期において、通信品質の低下が顕在化している。 今回のpovoによるプロモーションは、単なるSNS担当者の思いつきではないだろう。 KDDI経営トップの意思が反映された戦略的なマーケティングと見て取れる。 5月12日に開催されたKDDIの2026年3月期本決算説明会において、松田浩路社長は楽天モバイルとのローミング協定について明確に言及している。 松田社長は協定が期限を迎えることに触れ、「当初の役割というのは終えたんじゃないか」と述べ、ローミングを終了させていく方針を示した。 さらに注目すべきは、続く松田社長の以下の発言だ。 「われわれにとってはauのお客さまに影響が出ないというのが大前提でありますし、ただ一方で楽天のお客さまがお困りになることがあれば、当社としても例えば副回線の形であったり、あるいは基本料金0円のpovoだったりというような形でもご支援できないかなと思っております」 基本料金0円から維持できるpovoを副回線として提案し、自社へ取り込むシナリオは、すでに決算説明会の場で明言されていた。