国の基幹ロケット「H3」が12日午前、打ち上げられる。 昨年末の失敗から約半年という異例の早さで飛行再開へこぎ着けた。 前回の失敗の原因はどこにあり、なぜ今回、早期再開ができたのか。 ■8号機の失敗原因 8号機は2025年12月22日、準天頂衛星「みちびき5号機」を載せて打ち上げられたが、第2段エンジンの2回目の燃焼が正常に立ち上がらず、予定軌道への投入に失敗した。 民間ロケットも3月に「カイロス3号機」が打ち上げに失敗するなど、官民とも衛星を宇宙へ運ぶ手段がない状態だ。 自国の判断で必要な時に打ち上げられる「自立性」が危ぶまれるだけでなく、国内外の衛星の打ち上げ需要を取りこぼすことも懸念された。 JAXAは年末年始も返上で原因究明を進め、2月には衛星とロケットをつなぐ台座「PSS」にまで絞り込み、4月に報告をまとめた。 それによると、PSSのパネルとパネルを貼り合わせた箇所の一部が製造過程ではがれ、強度が落ちたまま飛行し、フェアリング(衛星カバー)分離の衝撃をきっかけにPSS全体が崩壊。 配管などを傷つけ、エンジン停止につながった可能性が高いと結論づけた。 先代「H2A」はパネルをボルトで留めていたが、H3では軽量化や低コスト化のため、接着剤を採り入れていた。 接着の工程で一部を加熱しすぎて強度が落ち、さらにパネル内部の空気が膨張し、剝離(はくり)が生じたとみられる。 ■なぜ半年で再開 これまでH3初号機(23年)や先代H2Aの6号機(03年)が失敗した際、次の打ち上げまで少なくとも1年前後かけてきた。 今回の早さの背景には、大きく二つの事情がある。 一つは、早期に原因を特定でき、かつエンジンや制御装置といった究明に時間を要する箇所ではなかったことだ。 もう一つ大きかったのは、再開後の機体が「試験機」だったことだ。 6号機は日本初の「30形態」という新形態で、政府の大型実用衛星を載せる任務ではない。 政府関係者も「通常ミッションより心理的ハードルが低く、打ち上げを再開するための機体として使いやすかった」と打ち明ける。 (枝松佑樹)