りゅうぐうねずみむかし、とやまのくすりうりが、むらむらをあるき、くすりをうっていました。 あるとき、はまべをあるいていると、あ、くびをひっこめた。 こんどはしをだした。 子供たちがわいわいわいわい騒いでいます。 のぞいてみると、そこにいたのは大きな亀でした。 お前たち、その亀を俺に売ってくれないか。 ああ、いいよ。 男は子供たちから亀を買い、 さあ、遠くへお逃げ、と海へ話して、また薬を売りに行きました。 それからしばらくたち、あちこちで薬を売ってきた男は、またあの浜辺を通りかかりました。 すると、もしもし、薬売りさん、 足元から声が聞こえます。 見ると、亀がいました。 この間はありがとうございました。 まだこの辺りにいたのかい? 助けてもらったお礼に、あなたを竜宮へ案内したいと思って待っていたのです。 竜宮、はて、どうやって行くんだ。 私の背中に乗って目をぎゅっとつぶってください。 言われた通りにすると、亀はぐんぐん海へ潜って行きました。 やがて、さあ、着きましたよ、と言われて目を開けると、海の中に立派な御殿があり、よく来てくださいました、と音姫が出迎えてくれました。 男は竜宮で御馳走を食べたり、きれいな踊りを見たり。 ここはなんと楽しいところだ。 だが、きっと女房が心配しているだろう。 そろそろ帰らなくては。 男がそう言うと、音姫は家来に二つのお膳を運ばせました。 これは一度食べれば死ぬまでお腹がすかないお膳です。 ふーん、死ぬまでお腹が減らないというのはどうかな。 それならこちらはいかがでしょう。 一度食べれば一年の間お腹がすかないお膳です。 どちらでもお好きな方を差し上げましょう。 せっかくだけど、どちらもいただけないよ。 まあ、なぜ? おなかがへらないなんてちっともおもしろくない。 春なれば春のもの、夏なれば夏のもの、秋なれば秋のもの、冬なれば冬のもの、それに正月だとか節句だとか、いろいろなものを食べたいんだ。 人間というものはそういうものなのですね。 それならこれはいかがですか。 音姫は一匹のネズミを差し出しました。 これは一日に一粒の米を食べさせれば、一枚ずつ小判を産むネズミです。 それはいい。 このネズミをいただくとしよう。 家に戻り、男がネズミに米を一粒食べさせると、 ネズミは小判を一枚産みました。 これは、良いネズミをもらった。 だが、待てよ。 女房に教えたら、きっと無駄遣いをするに違いない。 男はネズミを箱に入れて隠し、また薬を売る旅に出ました。 うちの人、何か隠し事しているのに違いない。 男が出かけると、女房は家中を探しました。 そして、きれいな箱に入ったネズミを見つけ、あら、このネズミ、ずいぶん痩せているのね、と思い、米を一粒食べさせると、 小判を一枚産みました。 まあ、これはいいネズミだこと。 女房は一生ますに米を入れてネズミのそばに置きました。 するとネズミは米を次から次へと食べ、小判を産む暇もありません。 見る見るうちにプーッと膨れて、ついにドーンと破裂したかと思うと、遠くまで吹っ飛んで海に落ち、今の佐渡島ができたんだとさ。