町内の若い者が二、三人寄り集まって、おしゃべりをしていますと、痩せた青白い顔の男が、「はあー、はあー」と、息を切らせて飛び込んで来ました。「 たっ、たっ、助けてくれ~」男は、ガタガタと震えております。「 どうした、どうした」みんなが男を取り囲んで聞きますと、男は、「後ろから、まんじゅう売りがやって来る」「・・・・・・?」「 実は、おれはまんじゅうがどうしても怖くて怖くて。 はっ、早く、どこかへ隠してくれ」と、言うので、ひとまず物置に隠してやりましたが、いたずら好きの一人が、「どうもおかしな奴だ。 一つ、いたずらをしてやろうじゃないか」さっそくまんじゅう屋からまんじゅうを買い、おぼんに山盛りに積んで物置の中へ入れると、戸をぴしゃりと閉めて押さえていました。 所ろがしばらくたっても、音一つしません。「 さては怖がって、気を失ったかな?」 と、戸を開けてみると、中の男はまんじゅうを残らず食べてしまい、口のまわりのあんこをべろべろなめています。「 あれっ? お前を脅かしてやろうと思ったのに食っちまうとは、どこが怖いんだ」と言うと、男は、「今度は、お茶が怖い、お茶が怖い」おしまい