リチウム。 クリーンエネルギー技術に多大な貢献をしている一方で、採取するのが難しいうえに、環境負荷も大きい厄介な資源です。 科学者たちは、高まるリチウムの需要に応えるために、より持続可能な方法を模索してきました。 今回、その一環として、貴重なリチウムを含有する硬岩から採取するための、より安全でより低コストなアイデアが提案されたようです。 学術誌『Science』に掲載された研究結果によると、新たに提案された手法では、まずリシア輝石と呼ばれる鉱物を化学的に分離して、リチウム、アルミニウム、シリコン(ケイ素)に分けます。 その後、それぞれの産業的な用途に合わせて、分離と精製を行ないます。 従来とは異なり、この代替手法は低温で、酸を使用しません。 リシア輝石の主成分から、最も価値の高い生成物を抽出します。 研究の共同執筆者であり、マサチューセッツ工科大学(MIT)で材料科学・工学教授を務めるYet-Ming Chiang氏は、米Gizmodoの取材に対し、大規模な実用化が行なわれれば、「あらゆる天然資源からリチウムを採取するうえで、もっとも低コストな手法」になると語っています。 リチウム採掘の現状 MIT Climate Portal(MITの気候情報サイト)によると、リチウムは、塩水プールを蒸発させるか、鉱石を採掘するかのいずれかの方法で抽出されています。 前者は、地下の鉱床からくみ上げてプールにためた塩分を含む水を蒸発させて、リチウムを含む元素を抽出します。 後者は、「より伝統的な方法」と見なされていて、重機を用いて掘り起こしたリシア輝石を粉砕します。 いずれの方法も、大量の水を消費し、二酸化炭素も大量に排出します。 国際エネルギー機関(IEA)の報告書は、供給面でも、地政学的にも、世界のリチウム産業は極めて高いリスクを抱えていると指摘しています。 同報告書は、リチウム産業の「供給途絶への対応能力」をわずか3%と評価している一方で、2030年までにリチウム精製量の57%を中国に依存することになると予測しています。