明るい声を世の中に中村ラジオへようこそ。 生き方。 稲盛和夫。 考え方を変えれば人生は百八十度変わる。 人生をよりよく生き、幸福という果実を得るにはどうすればよいか。 そのことを私は一つの方程式で表現しています。 それは次のようなものです。 人生、仕事の結果イコール考え方掛ける熱意掛ける能力。 つまり、人生や仕事の成果は、これら三つの能力要素の掛け算によって得られるものであり、決して足し算ではないのです。 まず能力とは才能や知識と言い換えても良いのですが、多分に先天的な資質を意味し、健康、運動神経などもこれに当たるでしょう。 また、熱意とは事を成そうとする情熱や努力する心のことで、これは自分の意思でコントロールできる後天的な要素、どちらも点から百点まで点数がつけられます。 掛け算ですから、能力があっても熱意に乏しければいい結果は出ません。 自覚して人生や仕事に燃えるような情熱であたれば、先天的な能力に恵まれた人よりはるかにいい結果を得られます。 そして、最初の考え方、三つの要素の中では最も大事なもので、この考え方次第で人生は決まってしまうと言っても過言ではありません。 考え方という言葉は漠然としていますが、いわば心の在り方や生きる姿勢、これまで記してきた哲学、理念なども含みます。 この考え方が大事なのは、これにはマイナスポイントがあるからです。 点までだけではなく、その下のマイナス点もある。 つまりプラス百点からマイナス百点までと点数の幅が広いのです。 従って、能力と熱意に恵まれながらも、考え方の方向が間違っていると、それだけでネガティブな成果を招いてしまう。 考え方がマイナスなら、掛け算をすればマイナスにしかならないからです。 我が身の恥をさらすようですが、就職難の時代に大学を出た私は縁故がないために、いくら入社試験を受けても不合格続きで、一向に就職が決まらない。 それならいっそインテリヤクザでもなってやろうか。 弱い者が割を食う不合理な世の中なら、義理人情に厚い極道の世界に生きる方がずっとマシかもしれない。 拗ねた心で、半ば本気でそんな風に考えたこともありました。 その時、本当にその道を選んでいたら、そこそこ出世して小さな組の親分くらいになっていたかもしれません。 しかし、そんな世界でいくら力をつけても、根本となる考え方がネガティブで歪んでいるのですから、決して幸せになれなかったでしょうし、恵まれた人生を歩むことはできなかったでしょう。 では、プラス方向の考え方とはどんなものでしょう。 難しく考える必要はありません。 それは常識的に判断される良い心のことだと思っていただければ良いでしょう。 常に前向きで建設的であること、感謝の心を持ち、みんなと一緒に歩もうという協調性を有していること、明るく肯定的であること、善に満ち、思いやりがあり、優しい心を持っていること、努力を惜しまないこと、足るを知り、利己的でなく、強欲ではないことなどです。 いずれも言葉にしてみればありきたりで、小学校の教室に掲げられている標語のような倫理観や道徳律ですが、それだけにこれらのことを決して軽視せず、頭で理解するだけでなく、体の奥まで染み込ませ、筋肉化しなくてはいけないと思うのです。