腰折れすずめ。 昔、あるところにおばあさんが住んでいました。 おばあさんが日向ぼっこをしていると、庭にすずめが飛んできました。 その時、石が飛んできて、おやまあ、腰に石が当たったすずめは動けなくなってしまいました。 子供が垣根の向こうから石を投げたのです。 おばさん、そのすずめをおいらにちょうだい。 ダメじゃダメじゃ。 かわいそうに。 すずめや早く元気におなり。 おばあさんは怪我をしたすずめを拾うと、小さな桶に入れてお米を食べさせ、懸命に手当てしました。 やがてすずめは元気になり、おばあさんの家の上を三度回って空へ飛んでいきました。 それから二十日ばかり過ぎた頃、あのすずめがおばあさんの家に飛んできました。 まあ、よく来たね。 すずめは口から何か小さなものを落としました。 それはひさごの種でした。 かわいいじゃないか。 すずめがお礼を持ってきたよ。 おばあさんはひさごの種を大切に懐へ入れました。 春になると庭にひさごの種をまきました。 やがって芽が出て、つるが伸び、大きなひさごが三つなりました。 一つ取って振ると、お乳のような白い水がとめどなく流れ出てきます。 一口飲むと、そのおいしいこと。 おばあさんは村の人たちにこの水を振る舞いました。 村の人たちは大喜びです。 それからおばあさんが二つ目のひさごを振ると、今度はお米がいくらでも出てきます。 三つ目のひさごからは大判小判が次から次へと飛び出しました。 なんと不思議なひさごだろう。 さあ皆さん、お米でも大判小判でも、欲しいだけ持っていってくださいな。 村の人たちはみんなニコニコしながら帰っていきました。 ところで、この家の隣にはよくふかばあさんが住んでいます。 このおばあさんは、優しいおばあさんが不思議なひさごを手に入れたことがどうにも羨ましくてなりません。 ちょっとごめんください。 ひさごの種を私にも分けてくださいな。 あれはすずめにもらったのでもうないのですよ。 おばあさんはすずめを助けたお礼に種をもらったことを話しました。 なるほどなるほど。 それならわしも。 すずめはいねか? すずめはいねか? よくふかばあさんは野山を歩きましたが、怪我をしたすずめは見つかりません。 仕方がないので庭一面にお米をまきました。 するとすずめがたくさん飛んできたので石を投げ、怪我をしたすずめを拾うと、優しいおばあさんがしたように小さな桶に入れました。 しばらくするとすずめはすっかり良くなって、おばあさんの家から飛んでいきました。 おーい、すずめや、上等のひさごの種を持ってきておくれ。 それから毎日、おばあさんがまだかまだかと空を見上げて待っていると、十日ばかりして、あのすずめが戻ってきました。 よう来たよう来た。 お礼はどこじゃ? すると、すずめが空からひさごの種を落としたので、おばあさんはまだ冬なのに、その種を早速庭にまきました。 やがて大きなひさごが三つなりました。 早速一つ目のひさごを取ると、一つ目のひさごから出てきたのは苦い水でした。 今度こそ美味しいお米よ、出ておいで。 ところが、二つ目のひさごから出てきたのは蜂です。 ひー、やめておくれ。 痛い痛い。 蜂はおばあさんを散々刺しました。 一つ目は苦い水、二つ目は蜂。 だが、三つ目のひさごには。 おや? なんだい、これは。 三つ目のひさごからは泥がドロドロ出てきて止まりません。 それで、よくふかばあさんはとうとう泥にすっかり埋もれてしまいましたとさ。