わらと炭と豆。 昔々、わらと炭と豆が上方参りに行くことになりました。 三人が道を歩いていくと、小川が流れています。 向こう岸に渡りたくても、その小川には橋がかかっていませんでした。 「これは困った」「どうやってこの川を渡ろうか」「そうだなぁ。 では、この中で一番背が高いわしが橋になろう」わらはそう言って向こう岸に倒れると橋になりました。 「さあ、わしの上を歩いて渡るが良い」「ありがたい」「ありがたい」炭と豆が渡ろうとすると、ビューッと風が吹いてきて、わらの橋が揺れました。 「これはずいぶん揺れるな」「豆さん、お前先に渡っておくれ」「炭さんがお先に渡ってくださいな」「いいや、先に渡りなさい」「炭さん、お先にどうぞ」「いやいや、まずお前が渡りなさい」「嫌ですよ」炭と豆はとうとう喧嘩になってしまいましたが、仕方なく炭が先に渡ることになりました。 炭はプリプリ怒りながら橋を渡り始めましたが、あんまり怒っていたものだから、どんどん赤くなり、とうとう火がおきて。 その火がわらに燃え移り、わらと炭はぼっちゃんと小川に落ちてしまいました。 それを見ていた豆は。 「おやおや、落ちちゃった。」 笑い出し。 あんまり大きく口を開けて笑ったので、とうとう口が裂けてしまいました。 「わー、わー、わー、うー」そこに姉さが通りかかりました。 「どうして泣いているの?」 「あまり大笑いしたから口が裂けてしまいました」「まあ、かわいそうに。 それなら私が縫ってあげましょう」姉さは持っていた針と糸で豆の裂けた口をちくちく縫いました。 「黒い糸しかなくてごめんなさいね。 だけど、とても綺麗に縫えましたよ」こうして豆の口は元通りに治りましたが、今でも豆には黒い線が入っているのだそうです。