ラッパカサマ。 昔、鎌倉時代の頃、ラッパカサマが率いる悪党たちが三浦半島を股にかけ、荒らし回っていました。 ラッパカサマは村人の家に押し入って、お金や物を奪い、神社やお寺にまで火を放ち、宝物を持ち去るので、人々からとても恐れられていました。 ある晩のこと。 林という村に大きな屋敷があり、どういうわけかその裏門が夜になっても開いたままになっていました。 それに気づいたラッパカサマと悪党たちが集まってきて、中に押し入ろうとしました。 その時、誰かが近づいてきたので、悪党たちはとっさに物陰に身を隠しました。 明かりが近づくと、それは美しい娘でした。 こんばんは。 私はこの屋敷で働いている者です。 今宵皆さまがお出になることは承知しておりました。 ご主人様は鎌倉へ出かけていて留守でございますが、皆さまがお越しになったら、屋敷の内へ案内しておもてなしをするようにとのことです。 さあ、中へどうぞ。 ラッパカサマと悪党たちが屋敷の中へ入ると、広い座敷へ通されました。 そこには大層なごちそうが用意されています。 美しい娘たちにもてなされてすっかり羽目を外し、いい調子になって飲めや歌えの大騒ぎとなりました。 しばらくすると、襖が開いて奥からお内儀と思われる人が現れました。 悪党たちが一瞬静まり返ると、お内儀は言いました。 せっかくお越しくださいましたのに、今夜は主人があいにく留守にしておりまして、申し訳もございません。 お詫びに、重くてご迷惑かもしれませんが、土産を用意いたしました。 また襖が開くと、そこには山のように積まれた千両箱がありました。 この世に初めから悪党になろうと思って生まれた人はありません。 子供の時から貧しかったばかりに、つい悪い行いをしてしまい、知らず知らずのうちに悪党になってしまうのでしょう。 ご覧のように、私どもは三浦でも肩を並べるものがないほどの大金持ちでございます。 さあ、遠慮なさらず、持っていけるだけこの千両箱をお持ち帰りください。 悪党たちは我先にと千両箱に飛びつき、背負いましたが、全て持ちきれる数ではありません。 また明日の晩も参る。 残りはその時持ち帰ろう。 主によろしく伝えられ。 と言い、千両箱を担いで出て行きました。 ラッパカサマたちはうんこらうんこら重い千両箱を背負い、険しい山道を登りました。 ちょうどその頃、鎌倉の武士たちがラッパカサマたちを退治するためにこちらに向かっていました。 馬に乗った武士たちが山道を登る音が風に乗り、ラッパカサマたちの耳にも届きました。 それでも欲深い悪党たちは千両箱を捨てることができません。 そして、峠の辺りに来た時、夜が明けて朝日が射すと、背負っている千両箱はたちまち大きな石に変わりました。 そこに武士たちが到着し、ラッパカサマたちはあっという間に皆捕らえられてしまいました。 これは狐が悪党たちを化かして村人たちを助けてくれたというお話です。